性癖をカミングアウトするタイミング

今回のお題は、「なにごとも最初が肝心」というお話です。

※このコラムはお客様の許可を頂いて些少のフィクションを混入して書きました。

私のお客様で独身のころから特殊な性癖を自覚する人は少なくないのですが、
その性癖を自分のパートナーに正直に打ち明けている人は殆どいません。
理由は様々だと思いますが、やはりそこは恥ずかしい、引かれるのが怖い、
変態だと思われたくないなど、可愛い理由が並びます。
だって本当は変態なのに変態だと思われなくないなんて、可愛いったらありゃしないですよね。
そんなことしてもいつかはバレるのに。笑。
しかしこれまで男らしい、頼り甲斐のある、たくましいと思い込ませてきたパートナーに、
今更こんな性癖があるなんて言えないのは共感できます。
ましてやそのパートナーと長い付き合い、または結婚を考えている対象であればなおさら。

だとすれば割と付き合いが浅い時期にカミングアウトしてしまうことをお勧めしています。
もしもそれで嫌うような相手なら、将来的にセックスレスになることは目に見えていますし、
遠くない未来、自分のどうしようもない性衝動を消化できずに苦しむ羽目になるでしょうから。
もしくは、棺桶の中まで持っていく覚悟で、その秘め事を必死になって隠し続けるしかありません。
これは相当なエネルギーを使いますけどね。それらを消化するために隠れて風俗へ?それとも留守の合間に自分で?
どちらにしてもリスキーですね。

さて、今回のケースは、私もお話を伺って非常に気の毒に感じたお話でした。
皆様もどうぞお気をつけください。まさに、油断大敵。

彼は婿養子として遅い結婚を果たしました。
彼女は母親と同居することを条件に、経済力のある家の婿となりました。
奥様は大のBL好きで、その類の活動もしていたようです。
BLといえば濡場シーンが必ずと言っていいほど登場します。
男性どうしでありながら喉の奥に甘く熱い吐息を輪廻させ、
涙目で愛を語る…そんなシーンを容易く想像することができます。
それが大好きな女性なら、自分のことを好きで結婚してくれた奥様なら、
この特殊な性癖を理解し、受け容れてくれるだろう。そう思っていたそうです。
それでも彼は慎重を期し、1年間様子を見続けたそうです。自分の本当の性癖を隠したまま。

そうして仲睦まじく過ぎた1年後、彼は彼女がもっとも機嫌がよいタイミングを狙って、
自分の性癖をサラりと話したそうです。
そう…、ちょっと興味がある、何度か経験したことがある程度に。
そうすると話している途中から奥様の顔色がどんどん変わっていくことを、
彼が気づくのが遅かったのかもしれません。
すべてを話し終える前に奥様が彼の告白を遮ったそうです。

そうしてその翌日から、あからさまに彼の扱いが変わってしまったそうです。
食事も別、使用する食器も別、洗濯物も別になったそうです。
彼はひたすら奥様へ話しかけます。
今さら冗談とは言えない状況まで告白してしまった手前、理解してもらうしかすべはありませんでした。
彼もまた理解できませんでした。どうして好きで、夢中で読んでいるBLでは、その行為を受け容れているのに、
自分の夫のは受け容れられないのか。なにが違うのか。ましてやゲイではない、むしろゲイだったら良かったのか。
彼はどうしても奥様にその答えを話してもらいたかったのです。
何日もかけて話しかけても、家庭内別居、家庭内無視を決め込まれて何も進みませんでした。

彼はその日、彼女の進行方向へ回り込み、彼女と話をするために強行に出ました。
そうすると彼女は、こう言ったそうです。

「さわらないで!!このケダモノ!!!」

自分のパートナーがそういう世界を好んでいても、リアルでは望んでいない。
あくまでそれらは仮想現実だから良かったのでしょう…。
風俗嬢やAV女優さんが必ずしもエロいこと好きとは限らないというのと同じでしょう。
結局彼は、離婚しか選択肢はなかったようです。

皆さまどうぞ、こういう大切なことの決断を見誤らないよう、どうぞお気をつけくださいね…。

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